心理学

セリグマンとマイアーによる「学習性無力感」

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この記事は、「【報告】ネット版勉強会に向けての新たな取り組み」で説明した「リハビリに関わる心理学の知識」に関する記事です。

学習性無力感とは

臨床的には、学習する事に対して悲観的であったり、挑戦しようとしない場合に「学習性無力感」という言葉が使われる事があります。こういった、学習に対する取り組みの乏しさを学習性無力感といったりするのですが、この学習性無力感についてセリグマンとマイアーの発表した論文がありますので紹介させて頂きます。

 


彼らの実験は人ではなく、犬に対して行ったものですが、かなり簡潔に抜粋すると以下のような実験です。

逃れる事のできない電気ショックを60回余りも予告なく与えられた犬は、その後、電気ショックに先立ち予告信号を提示し回避訓練を行っても電気ショックから逃げようとしなかった。

装置の中で横たわり、諦めて電気ショックを受けているように見えた。

これに対して、初めのセッションで電気ショックから逃避できた犬は、2,3回も回避訓練をすると、初めから柵の前に立っていて、電気ショックの予告信号があれば、すぐに見事に柵を飛び越えて行く。

このような実験結果に基づき、セリグマンらは「学習性無力感(learned helplessness)」という概念を提起しました。

「犬は、逃避できない電気ショックを何度も経験することにより、自分には電気ショックを止めることはできないこと、自分は無力であることを学習した。」

「その結果、動機付けに関しては、嫌悪刺激に直面したときの反応に対する動機付けが弱くなる。認知面では、自分の行動とその結果との関係の認知が適切にできなくなる。情動面では、そのバランスが崩れ抑うつや不安が顕著になってくる。」

というのが、この実験に対する彼らの考察です。

セリグマンらの実験は、動物に行ったものですが、その後の追試で動物実験ばかりでなく人間においても(人間の場合は実験内容を修正して行っている)、似たような結果が報告されています。

 

 

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