クリニカルリーズニング1「治療を停滞させないために」
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~ここまでのリーズニング~
本記事は、前回記事「【付録】適刺激を見つける過程-症例報告風-」のつづきです。
患者の治したいと思っている症状を問診でのやりとりを通して共通理解にしました。そして、疼痛を誘発させながら効果判定の道具となりそうなプレポストテストを設定する事ができました。ここからは試行錯誤法により適刺激を探していく検証作業を行っていきます。実際に「今目の前にいる患者にとって有効な治療刺激」を探していきます。
※追記(2015/12/1)があります。
シリーズ1での適刺激を探していく過程を症例報告みたいにやってほしいとリクエストを頂きましたので、その実際のやりとり(ブログに記載するため、文言は多少変えていますが、意図する内容は同じです。)を記事にします。この記事の位置付けは、シリーズ1の付録記事になります。
今まで、「治療を停滞させないために」という最初の記事から繋がりを持たせるように書いてきました。クリニカルリーズニングが、原因組織を探すテクニックや知識だけの事を言うのではない、という思いから、一切そこには触れず、現状で考えるべき事、患者とのコミュニケーションで注意すべきこと、などを中心に解説してきました。
今までの記事では、治療場面を想定して触れてきましたが、ここでは「初回の治療終了時でのやりとり」について解説していきたいと思います。
たった一回の治療で劇的な変化を生み出し、「もうこれ以上の治療の必要がない」という状態を作り出せる魔術のような手技は存在しません。
だいたいの場合は「さっきよりは良くなった」や、「治療直後は良いけど、しばらくするとまた痛くなっている」という事だったりだと思います。しかし、これらの治療刺激の最適化を図る事で、日常生活上の痛みを十分に改善させる事ができる刺激へと効果を高める事ができる可能性があります。「治療刺激の調整」について稚拙な文章で解説していきます。
今までの記事では、コンパラブルサインを用いての、試験的な治療による効果の有無を確認する手順を説明してきました。また、微妙な変化を読み取る際の患者からの適切なフォードバックがもらえるようオリエンテーションの重要性についても触れました。
しかし、微妙な変化を読み取ろうとする際にコンパラブルサインの変化だけを頼りにすると、多くの変化に気づけずに間違った効果判定をしてしまいます。その対策について説明していきます。
セラピストが用いる徒手的な検査や、以前の記事で説明してきた「コンパラブルサインの確認」、「試験的な治療」などは、患者の症状に何らかの意図的な変化を起こそうとしています。
特定の運動や姿勢をとらせる事によって疼痛を再現させようとしたり、痛みの原因と思われる部位・組織に物理的刺激を加え、疼痛の再現や症状の変化をみようとしています。その変化をみていく前に気をつけなければいけない事があります。
「ウェルホームドゴール」は、「よく形成された目標」と訳され、心理療法のなかの短期療法の1つであるソリーションフォーカスドアプローチ(以下SFA)に出てくる言葉です。
クリニカルリーズニング関連の用語や、徒手療法の用語としては出てきませんし、本来の使い方とはやや異なりますが、これを痛みを対象にした治療(理学療法や徒手療法)のヒントにする事によって、そのゴール設定の仕方を工夫する事ができると思っています。
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