治療の停滞させないために

3.適刺激の見つけ方2 そもそも良い変化とは?

更新日:

clinical reasoning1前回記事(適刺激の見つけ方その1 適刺激についての解説)では、適刺激を見つけやすい患者像を中心に説明してきました。まずは、適刺激を探しやすい患者から多くの経験を積んでいき、そこで得た経験を自身の治療技術の基盤にしていく事が大事だと思っています。

本記事では、「適刺激の見つけ方2」という事で、適刺激であるか否かを判断する為の症状の「良い変化」の定義とそれを読み取っていく手段について稚拙な文章で書いていきたいと思います。

 

【適刺激の見つけ方2 そもそも良い変化とは?(クリニカルリーズニングに関する解説)】

まず、わかりやすい変化とはコンパラブルサインの消失です。前屈すると腰が痛いという患者が治療後に前屈しても痛くないとなれば、明らかな改善です。これは、誰がみても分かり易い事例だと思いますので、ここでは改善もしくは不変と判断するのに困る領域での変化について触れていきたいと思います。

仮に、初回の治療でコンパラブルサインに変化を起こせなかったとしても、この手技を継続すべき徴候が出ているのか、まったく出ていないのかを判断しなければ、現在用いている手技を継続する根拠も、別の手技に変える根拠も損なわれてしまいます。

もし、別の手技に変えるとしても、現在用いている手技をしっかりと否定できれば可能性を1つずつ除外する事で少しずつ正解と思われるものに近づいていく事ができます。

大切な事は、ガイドラインやエビデンスとして確立されているか否かではなくて、「今、目の前にいる患者にとって良い方法か?」です。

ガイドラインやエビデンスを用いる事は特定の治療法・手技を導入する根拠にはなっても、目の前にいる患者にとって良い方法かの根拠にはなりません。結局は、セラピスト自身で確かめなければなりません。

(後日、「ガイドライン、エビデンスを導入する利点」についても記事にしていきます。)

セラピストが加えた物理的刺激(現時点では適刺激かは不明なので、物理的刺激と表現します)によって起きた変化の中で以下の項目を臨床的に価値のある変化の一部と考えています。

  1. 症状の範囲の変化(縮小化や近位化が起きる)
  2. コンパラブルサインの確認方法の変化
  3. 治療中に再現された治療中の痛みの変化
  4. コンパラブルサインの悪化
  5. 設定したその他の従属変数の改善(別記事「効果判定のための準備(疼痛を再現させる他の動作や検査)」で説明しています)

これだけではありませんが、記事の都合上、特に重要だと思う部分を抜粋して列挙してみました。設定した従属変数の改善については別記事で説明する事とし、上記の1~4までを1つずつ解説していきたいと思います。

 

1.症状の範囲の変化(縮小化や近位化が起きる)

コンパラブルサインが消失しなくとも、疼痛範囲の縮小化が起きればこれは改善とみなす事ができる事は、消失した事と同様に理解しやすい事だと思います。また、よく言われている症状の近位化もその一つです。

腰部痛に下肢痛を伴っている患者の下腿後面部にあった症状が膝窩部に移動してきたら良い変化ととりあえず判断します。この辺の事は、マッケンジーを勉強されている方に聞いてみて下さい。

例え神経根症状によるものでなくても、近位化には価値があると私は判断する事が多いです。今後、必要があれば記事にしたいと思います。

 

2.コンパラブルサインの確認方法の変化

コンパラブルサインを確認する際に、治療前(プレテスト)に行った前屈動作を、治療後にやってもらう際(ポストテスト)に躊躇なく行う、仮に症状が変わらなかったとしても患者自身で複数回確認してみせるなどは良い変化である可能性があります。

治療前と同様の痛みが出てもパフォーマンスが上がっていれば、これも良い変化です。ですので、プレテストの際に患者に「今ここで痛みを再現して見せて下さい。」と伝えた時の様子や動作の範囲・質を覚えておく必要があります。

ほとんどの場合、患者は微妙な変化があるかをセラピストが知りたいという事を理解していない事の方が多く(たとえオリエンテーションをしっかり行っているつもりでも)、治ったか治っていないかを知らせようとします。

痛みがあれば「変わらず、痛いですよ。」と返答する場合が多いので注意して確認する必要があります。

もし、痛みが全く変わっていなければ、たった一度の確認で「まだ痛いですよ」と返答してくれる場合がほとんどです。複数回確認するという事は本人の性格もありますが、何か違う感じを感じた(例え、患者がそう言わなくても)から、それを確認しているはずです。

その後に「やっぱり、痛いですね」と返ってきたら、多少なりとも変化があったと感じてはいるが痛いのは痛い、という可能性を考える事ができます。この場合は刺激頻度・強度を調整すれば、微細な変化を拡大できるかもしれません。

 

3.治療中に再現された治療中の痛みの変化

治療中に再現された痛みが、治療を通して軽減していく事がよくあります。例えば、腰部の圧痛点に対して物理的刺激を加えていると最初は「そこ痛いねー。」と反応していた患者が何も言わなくなったり、「さっきと同じところ押しているんだよね?」と確認したりする事があります。

これは、もしコンパラブルサインと関連する領域を治療できていれば、治療中に再現された痛みが再現されにくくなる事は良い反応と解釈でき、症状の良い変化を期待する事ができます。

ただし、治療中に再現できた痛みがコンパラブルサインや症状と関連しているかはこの時点では不明です。ですので、治療中に痛みが再現された場合は、患者に「普段感じている痛みと似ていますか?」や、患者の使用する言葉を使って(例えば、痛みの質を奥でジリジリと疼くような感じと表現した場合)、「この痛みは奥でジリジリと疼くような感じと似ていますか?」と確認をとっておく必要があります。

このやり方は悪い意味としての主観的に思われるかもしれませんが、痛みの特徴についてはセラピストより患者の方がよくわかっていますので患者の感じている事を信じた方が近道であると考えています。このように、日常感じている痛みを再現できたという場合は、例えコンパラブルサインに変化がなくても治療中の痛みに変化が出るまでは治療を継続する価値があります。

その後、治療中の痛みの改善はしたけど、症状に変化がないとなった場合は、これを1つの基準として、次の治療ターゲットを決めた際に「以前の私とのやり取りで、普段感じている痛みと似ていますか?と尋ねましたが、その時と比べて今回の痛みはどうですか?」と聞く事ができます。それを積み重ねる事で少しずつ疼痛の原因組織に近づいていくことができます。

 

4.コンパラブルサインの悪化

コンパラブルサインの消失・改善はわかるけど、悪化はありえないだろと思われるかもしれません。しかし、重要な事はコンパラブルサインが変化したという事です。何ら意味のない事をやった場合は、まったく変化が起きないものです。 しかし、セラピストが用いた物理的刺激によって症状やコンパラブルサインに変化を起こす事ができたのです。

例え悪くなったとしても変化が起きたという事は、治療ターゲット自体は的を得ているが問題は「刺激頻度が多かった」「刺激強度が強かった」という可能性が考えられるので、次回の治療の際に治療頻度とグレード(治療グレードについては後日記事にします。)を下げて実施すれば良いという事になります。

ただし、この場合は、再度悪化させる事は治療関係を良好な状態に維持できなくなる可能性があるので、しっかりとしたオリエンテーションを行う必要があります。 (ここで取り上げているのは価値のある悪化です。価値のない悪化とは区別しなければいけません。「「価値のない悪化」について ~イリタビリティー? センシティビティー?~」で、それについて触れています。)

これらは、コンパラブルサインの消失がみられなくても、良い変化の可能性があると私自身が判断する患者の反応です。感覚的な要素を多分に含んでいますので、前記事で説明した、適刺激を見つけやすい患者像か否かは非常に重要になってきます。これを確認できれば、とりあえず今用いている物理的刺激を継続する根拠になると思っています。

適刺激を見つける作業は、それを読み取る為の準備試行錯誤(トライ&エラー)だと思います。クリニカルリーズニングを一から説明するとなると非常に複雑になってしまいますので、適刺激を探していくという、前回の記事との二部構成でクリニカルリーズニングの説明をしていくきっかけ部分になればと思っています。今後も関連する内容について記事にしていく予定です。長々と稚拙な文章を書いていますが、最後まで読んで頂きありがとうございます。

次の記事→ 4.オリエンテーションの重要性

スポンサーリンク




 
 
最新版 リハビリ転職サイト ランキング

-治療の停滞させないために

Copyright© 理学療法士ブログ , 2017 AllRights Reserved.