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統合と解釈の違いや書き方について(実習、レポート)

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新シリーズ「実習関連シリーズ」を開始しました。
このシリーズは、学生向け、もしくは実習指導経験の浅い理学療法士向けに、クリニカルリーズニングシリーズと並行して作成しています。
クリニカルリーズニングシリーズはこちらから。

 

統合と解釈について

アセスメントに引き続き、レポートやレジュメ作成に関する内容です。

アセスメントが何かについてはこちらをご覧ください。→【アセスメントとは?書き方やポイントについて (実習レポート)

今回の記事は、「統合と解釈では、何をするのか?」という事がテーマなのですが、「もともと何を知りたくて検査計画を立てたか」が答えられれば、何をすべきかがわかるはずです。

例えば、「歩けない」という患者がいたとし、理学療法士は、「何故歩けないのか」を考えます。

「歩けない」という状況を説明しているのが、検査結果です。そして「何故歩けない」という説明を行うのが統合と解釈になります。

「腰が痛い、腰痛がある」という患者でも同じ事です。

そして、これらは臨床で出くわす疑問なので、クリニカルクエスチョンと呼ばれます。

医者が、この患者の腰痛・下肢痛は「腰部椎間板ヘルニアか?」とか、「何番の神経根性疼痛、神経根障害を呈しているか?」という疑問と同じカテゴリーに属する疑問です。

理学療法士の場合は、その疑問が構造障害ではなく、機能障害や生活障害に重きがあるだけで、思考過程はほぼ同じです。

腰部椎間板ヘルニアを疑った際に、計画すべき検査として代表的なものが、感覚検査、運動検査、反射検査、整形外科的テスト(SLRテストが代表的)、必要に応じて除外診断のための検査、他にはMRI、医者によっては神経根造影や椎間板造影、ブロック診断などです。

これらを組み合わせて、この人は「椎間板ヘルニアだ」と診断が下されます。

 

クリニカルクエスチョンが解決すると、新たなクリニカルクエスチョンが生まれる事がほとんどです。

例えば、「では、この椎間板ヘルニアは、手術の必要性があるか?」、「運動療法の適応があるか?」なども関連するクリニカルクエスチョンです。

これらのクリニカルクエスチョンについて、検査結果を統合して、その解釈を記載するのが統合と解釈です。

アセスメントの項目で、「前屈制限があった場合にやるべき事は、その事実を書き、価値付けを行うだけで、そこで仮説生成する必要はない」というような解説をしましたが、それらをやるのが、この統合と解釈です。

そして、その統合と解釈に載っている、検査に関する事は、各々の検査の項を見れば全て載っていなければなりません。

先ほどの例で説明すると、「椎間板ヘルニアか?」というクリニカルクエスチョンに対して、「感覚検査、運動検査、反射検査の結果から椎間板ヘルニアの可能性が高く、他の競合した原因は考えられない」とした場合、感覚検査の項を見てみると、検査結果が記載されており、統合と解釈での自身の考えを裏付ける検査結果に対しては価値付けが行われているはずです。

レポートやレジュメ上では、検査→結果を表記→アセスメント→統合と解釈という順序性があるように見えますが、これは、レポート上の記載ルールであって、思考過程をそのまま表現しているわけではないので注意して下さい。

この過程を、トップダウンかボトムアップか、と分けて考える場合がありますが、仮説のない検査はボトムアップではなく、リーズニングが行われていないただの検査となってしまっているだけです。

 

「歩けない」という患者で考えた場合

まずは、「歩けない」というのがどういう状況を指しているのか、その状況を描写できるような、検査項目を立てる必要があります。

そして、その事実を記載し、「歩けない」と関連している検査結果には価値付けを行います。

すると「歩けない」という状況を、このレポートやレジュメを読んだ人と共通理解にする事ができます。

そして、「では何故歩けないのか?」「どうやったら歩けるようになるのか?」「歩けないなら、どういった代償手段で、移動する事が可能になるのか?」といったクリニカルクエスチョンが生まれます。

このクリニカルクエスチョンに対する答えが「仮説」という事になります。

「何故歩けないか?」について、動作分析から原因を探ろうと思っている方は、より動作分析の項目が詳細に書かれているはずですし、「筋力が問題では?」とまっさきに考えた方であれば、筋力検査が丁寧に記載されているはずです。

結果的に何もなく、考えられるのは「恐怖心かなー」という場合は、あらゆる身体検査に関わる項目が徹底的に記載され、それでも異常は見つからず、「歩くのを恐怖に感じてしまう何か(例えば過去の体験など)」が、レポートの項目の該当する箇所に記載されているはずです。

該当する箇所が項目にない場合は、検査の項目に「その他」を作っておいてもいいかもしれません。

統合と解釈で行う事は、このクリニカルクエスチョンに対する答えを自身が行ってきた検査や情報収集から理論立てて説明する事です。

これらは、「人を診ている」というよりは、クリニカルクエスチョンという、セラピストが持っている疑問を診ています。

一般的に、徒手療法の講習会などで、クリニカルリーズニングと題されているものは、この領域の事を言っている場合が多いと感じます。これらは、臨床を表現するクリニカルリーズニングというよりは、「ショートリーズニング」と呼ばれる、限局した領域での「謎とき」のようなものと解釈できるかと思います。

統合と解釈をイメージしにくい方は、病態を評価するような解説が載っているテキストを読んで、どのようにその病態が解説されているかを参考にするといいかもしれません。

「病態を診る」という意味では、内科であろうが整形外科であろうが、運動器リハだろうが、呼吸・循環器リハだろうが、思考過程としては類似しています。

例えば、脊柱管狭窄症の間欠性跛行が説明されているテキストをみてみると、脊柱管狭窄症がどういった病気かを説明した上で、歩行距離について触れられ、自転車ではその問題がなく、鑑別するものとして血管性の間欠性跛行が存在し、その違いについて説明されているはずです。

自身が行うべき検査は、これだけではないかもしれませんが、一応、載っていなければならない検査項目としては、歩行距離(実際に確認するか、聴取のみかは状況によります。)、足背静脈の触診や、下肢の血圧測定、脊柱管狭窄症を疑うべき画像検査の結果(ここでは、それが本題ではないので解説は割愛します。)などが挙げられます。

これらを、仮説を実証する(もしくは反証する)所見として、統合と解釈が行われます。

統合と解釈が苦手な方は、まずは、「病態の説明を行っているテキスト」や、他の人が行った既に完成している「統合と解釈」「ショートリーズニング」を参考にしながら、自身のもっているクリニカルクエスチョンに一つずつ取り組んでみるのをオススメします。

これらは、実習形態にもよりますが、評価実習でできている必要がある課題になるかと思います。

 


このシリーズに記載されている事は、極一般的で基本的な事のつもりで記載していますが、施設やバイザーによって考え方も指導方法も大きく異なります。また、地域や時代によっても違いますので、その点については十分に注意して下さい。

実習においては、すべては担当する指導者に従って下さい。また、こちらで書かれている事が確かな情報である保証は何もありませんので、担当指導者や幾つかの資料、学校の先生にも聞いたりしながら、たった一つの情報源を唯一の根拠としないように気をつけて下さい。

 

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