クリニカルリーズニングシリーズ7「ナラティブリーズニング(物語推論)」

クリニカルリーズニングシリーズ7

クリニカルリーズニングシリーズ7
ナラティブリーズニング(物語推論)

内容
ナラティブリーズニングは、「人をみる」という事に関するリーズニングプロセスを指します。ダイアグノシスリーズニングと協働関係にあり、互いを補うような関係にあります。

ほとんどの徒手療法の学派は、ダイアグノシスリーズニングを重要視し、ナラティブリーズニングに関しては、個々のセラピストの力量に任されている、といった状況が多いと思われます。

実際、マニュアルセラピーを学ぼうとした時に、ダイアグノシスリーズニングについての詳細な講義はあったとしても、ナラティブリーズニングについての詳細な講義は、まずないと思います。

もし、そういった事を詳しく学びたいと考えた場合、理学療法領域からは少し外れて、心理学がカリキュラムに組み込まれた大学の学部に入る必要があったり、臨床心理士を目指す必要があったりと、かなり敷居の高い領域となってしまっているように感じます。

また、そういった専門領域で学んだ場合は、徒手療法に強く関連した心理学・臨床心理学を学ぶわけではないので、これを理学療法領域に還元しようとすると、かなり遠回りでもあります。

このシリーズでは、僕が(一応)学んできた事と、徒手療法に関係のある心理学領域の事を中心に、自身の臨床と照らし合わせながら記事を制作していきたいと思います。

 

目次

  1. 心理社会的アプローチとしてのナラティブリーズニング
  2. 認知行動療法の取り組みに物語推論を
  3. ナラティブは対象なのか、方法なのか、
  4. ラポールの形成、適切な治療関係の構築
  5. 病態を細かく説明すべきかを物語推論の視点で考える
  6. 「その人」をみて質問の仕方を変える事の重要性について
  7. ナラティブとユーティライゼーション

※ シリーズ中の新しい記事が、画面最上位に表示されています。

カテゴリ一覧

7.ナラティブとユーティライゼーション

クリニカルリーズニングシリーズ7

ナラティブとは、「物語」と和訳されています。意味合い的には、「ある真実に対してその人それぞれに解釈の仕方がある。」と以前の記事で説明させて頂きました。

今回新たに出てきた「ユーティライゼーション」とは、治療者側のスタンスのことで、治療に利用できるものは、何でも治療の道具にしようというものです。

理学療法士や作業療法士の臨床で、ナラティブリーズニングを行うだったり、ナラティブを意識した介入をすすめていく上でユーティライゼーションを意識できるかで、介入の幅が広がります。このユーティライゼーションについて解説していきます。

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6.「その人」をみて質問の仕方を変える事の重要性について

クリニカルリーズニングシリーズ7理学療法士側から投げかける質問に、ナラティブというものを取り入れると少し臨床が変わってきます。

今までのクリニカルリーズニングの記事でも、部分的に取り上げられている事ですが、理学療法士側から質問を投げかける際のナラティブリーズニングについて解説します。

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5.病態を細かく説明すべきかを物語推論の視点で考える

クリニカルリーズニングシリーズ7患者から、「私の腰はどうなっているのですか?」と聞かれた際、理学療法士のほとんどの方は、病態をしっかり患者に説明すべきと思っているのではないでしょうか?

人によっては、しっかり時間をとって丁寧に説明されている方もいるかもしれません。

この事をナラティブリーズニングの視点から考えてみたいと思います。

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4.ラポールの形成、適切な治療関係の構築

クリニカルリーズニングシリーズ7治療をすすめていく上で、重要になってくるのは、徒手的な治療技術があるか、という事よりも「患者と適切な治療関係を築ける能力があるか」だと思っています。

これができない状態であるなら、スタートラインにさえ立てていないので、治療技術うんぬんの話ではありません。

ラポール形成や、適切な治療関係についてナラティブリーズニングという視点から解説していきます。

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3.ナラティブは対象なのか、方法なのか、

クリニカルリーズニングシリーズ7ナラティブとは、
物語と和訳され、
人それぞれの解釈」をセラピストの働きかけによって、変化するきっかけを与える事
と説明してきました。

この場合、患者のナラティブをリーズニングやセラピーの対象としています。

しかし、ナラティブが複雑になってしまう1つに、ナラティブを治療手段として用いる事も含めてナラティブという点です。

本記事では、ナラティブを手段と考える事について解説します。

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2.認知行動療法の取り組みに物語推論を

クリニカルリーズニングシリーズ7「人をみる」という事が意味しているものとして、前回記事では

「ある事柄が起きた時、その反応は人それぞれ」というような事を解説してきました。(使用している言葉そのものは違います)

この反応の違いを「解釈の違い」によるものとしましたが、これを認知行動療法で行われる正の強化と合わせて、ナラティブリーズニングについての解説をしていきます。

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1.心理社会的アプローチとしてのナラティブリーズニング

読み返してみて、説明が不十分と感じた部分がありましたので、追記しています。(文中に「追記」とは記していません。)h28.3.22

クリニカルリーズニングシリーズ7クリニカルリーズニングの中には、ナラティブリーズニングという領域があります。

ダイアグノーシスリーズニングが身体に対する従来のアプローチであり、ナラティブリーズニングは1人の人間として心理社会的領域からアプローチしようとするものです。

このアプローチは非常に重要な部分で、理学療法士が人を対象とする仕事である以上、避けては通れないものと思っています。

このナラティブリーズニングについての解説をする前に、その前身であるナラティブセラピーを理学療法領域に取り入れる事について考えてみたいと思います。

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