内側広筋(ないそくこうきん、Vastus medialis muscle)
起始 |
転子間下部、大腿骨粗線内側唇 |
停止 |
膝蓋骨底と内側縁から脛骨粗面 |
支配神経(髄節) |
大腿神経 (L2~L3) |
解剖学的特徴 |
中間広筋を覆って癒着しながら斜めに外下方に走り、共同腱の内側縁に合する。扁平な筋肉である。 |
作用・機能的特徴 |
膝関節の伸展
膝関節の伸展の他には、下腿の内旋、内転作用も有している。 knee-in toe-out(ニーイン・トゥーアウト)のアライメントにおける膝関節の安定化には内側広筋が中心的な役割を果たす。 内側広筋斜走線維(ないそくこうきんしゃそうせんい)では、膝関節の伸展作用よりも膝蓋骨の内方牽引力としての役割が大きい。内側膝蓋支帯の緊張は内側広筋斜走線維の活動性に大きく依存する。 内側広筋斜走線維の筋収縮は股関節の内転運動との組み合わせで実施するとより強い収縮を得やすい。 |
筋力低下 |
膝関節伸展不全(extension lag)と内側広筋の活動とは強い関連性をもっている。内側広筋の筋力低下(萎縮や機能障害含む)によって、エクステンションラグを引き起こす。 |
機能異常・関連痛パターン |
ストレッチ時に膝関節深部に疼痛を自覚する。 トリガーポイント刺激により膝および大腿の内側面の痛みを引き起こす。 |
臨床知識 |
膝蓋骨不安定症、膝蓋骨脱臼、大腿四頭筋委縮、膝関節拘縮などと関連のある筋肉。 |
筋の走行図と周辺解剖
内側広筋の筋走行
筋膜連鎖、アナトミートレイン(筋筋膜連鎖)
内側広筋と関連する筋膜連鎖
内側広筋(大腿四頭筋)は、スーパーフィシャル・フロント・ライン(SFL)を形成する。
内側広筋のストレッチ方法を解説
一般的なストレッチ
内側広筋は膝関節の伸筋で単関節筋なので、膝を屈曲する事で伸張されます。二関節筋である大腿直筋を外すために股関節は軽度屈曲位から屈曲位でストレッチをします。
外側広筋と分けてストレッチする場合はIDストレッチングをご参照下さい。
個別伸張法(IDストレッチング)
内側広筋のIDストレッチング
開始肢位
腹臥位.両上肢を挙上.片側股関節を軽度外転.踵が殿裂に触れるように膝関節を屈曲.
腹臥位.両上肢を挙上.片側股関節を軽度外転.踵が殿裂に触れるように膝関節を屈曲.
PT位置
片側上肢で足背部を,反対側上肢で大腿遠位部を把持.
伸張法
踵が殿裂に触れるように膝関節を屈曲した後,股関節を伸展・外旋.