ファッシャル・リリース・テクニック―身体構造のバランスを整える筋膜リリース技術
共著:ジェームズ・アールズ、トーマス・マイヤース
監訳:赤坂清和
筋膜リリースやアナトミートレインなどの筋膜に関する徒手療法関連の書籍です。
最近はテレビでも筋膜リリースという言葉が出てくるようになって、一般の方でも聞いた事のある治療手技です。ためしてがってんでも取り上げられていました。類義語としては、筋膜はがしや筋膜ストレッチなどもありますが、リハビリ・理学療法領域では徒手的な介入法を筋膜リリースと呼びます。
その他には、筋膜マニピュレーションや、軟部組織モビリゼーション(ソフト・ティシュー・モビリゼーション)などがあり、治療強度によって言い分ける学派もありますし、全てを統一して「筋膜リリース」としている学派も存在します。
また、NHKの【総合診療医 ドクターG「腰が痛む」】でも筋・筋膜性腰痛が取り上げられていました。そこで紹介されていたのは、生理食塩水を用いた筋膜リリースでしたが、この本は注射ではなく、徒手的(手を使用した)な筋膜リリースの本です。
アナトミートレインの著者であり日本でも講習会などで人気のトーマス・マイヤースも執筆者となっています。
アナトミートレインは筋膜に関する独自の理論の説明が多いですが、ファッシャルリリーステクニックは実技が中心です。方法論が具体的に書かれており、また絵や写真も豊富に使用され、技術的な解説が難しくなる書籍での問題を可能な限りクリアしていると思います。
Amazonでの評価はアナトミートレインの方が上になっていますが、個人的には、アナトミートレインよりも好きな本です。
どれだけ理論的に説明しようとしても結局、臨床で使えなければ意味がありません。
実際にやってみて効果があったものについて、理論的背景がどうなっているのかを調べた方が効率的だと思います。
理論先行になってしまうと臨床での現象を無視してしまう傾向があります。ですので、どちらかを迷っている方には特に「ファッシャル・リリース・テクニック-身体構造のバランスを整える筋膜リリース技術」の方がオススメです。
Amazonでは、訳について批判するようなコメントがいくつかみられますが、そこまで批判されるような事はありません。アナトミートレインの方がよっぽど訳は悪いと感じますし、もっと訳が悪い本はあると思います。
訳本を読みなれている方であれば、まず大きな問題はないと思います。
筋膜リリースの解説を足部から膝、股関節・骨盤、腰部、胸郭、肩複合体、頸部、上肢と順に解説されています。
解剖・運動学的解説、姿勢の評価から、具体的な介入方法が記載されています。筋膜リリースに関する徒手療法の入門としてもいいのではないかと思います。
ファッシャル・リリース・テクニック
単行本: 279ページ
出版社: 医道の日本社 (2012/6/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4752930978
ISBN-13: 978-4752930976
発売日: 2012/6/1
商品パッケージの寸法: 25.7 x 18.2 x 2 cm