理学療法実習におけるレポート作成のコツ-歩行観察-
理学療法学生が迎える実習で避けては通れない検査がいくつかあります。
その1つが、関節可動域検査(ROM-T)ですね。
そして、もう1つが歩行分析(観察)です。
そして、この2つを統合し解釈する事に苦手意識を持っている学生は多いのではないでしょうか?
歩行観察をしようと思った時に、「何をどう見て良いかわからない」と、苦手意識を持っている学生も多いのではないでしょうか?
ここでは、まずは、歩行観察について解説していきます。
歩行観察のポイント
- 歩行周期に分けたうえで、前額面と矢状面で各関節の状態がどうなっているか?
- 典型的な異常歩行がみられているか?
集約するとこの二つに絞られると思います。
まずは、歩行周期を理解する事です。そして、それぞれの周期で、関節の位置がどうなっているべきかを理解しておく必要があります。
実際の歩行での各周期における各関節の位置と、一般的に正常値とされている関節の状態とを比較します。
正常値から逸脱しているところを抽出する事ができれば、これが歩行観察のアセスメントで記載するところの一つとなります。
各周期の繋がりを考慮して、「何故こうなっているか」について記載する必要はありません。
あくまでも、歩行の状態を可能な限りありのままに伝える(記載する)ことが重要であって、ここで仮説生成を行う必要はありません。
そして、もう一つは、典型的な異常歩行の有無をチェックします。
- トレンデレンブルグ徴候(+)
- 分回し歩行(+)
- デュシェンヌ歩行(+)
などです。典型的な異常歩行とされているものは、他にもまだあります。これらの異常歩行とされているものが出ているか否かだけをチェックします。
先ほど挙げた、
- 歩行周期に分けたうえで、前額面と矢状面で各関節の状態がどうなっているか?
- 典型的な異常歩行がみられているか?
この二つをしっかり行えていれば、余計な仮説はいりません。可能な限りありのままを記載する事が重要です。
この2点について、丁寧に解説しているテキストは、「観察による歩行分析」が最も優れていると思います。
巻末にある、歩行観察チェックシートは、コピーして、そのまま使う事もできて便利です。
OGIGの歩行分析基本データフォームが付録(全部で4ページで構成されている)として付いています。訳本であれば日本語表記されていますので、英語表記が苦手な方も安心して下さい。
歩行周期の分け方は、OGIGによる分類法となっています。今は、ほとんどがこの分類法を用いていますが、どういう分け方でなければいけない、といった事はありませんので、ご自身で用いやすい方を選択すれば良いと思います。
歩行観察と歩行分析の違い
ここまでが、学生自身でやらなければいけない所です。そこから「なぜ、このような歩行になっているのか?」「なぜ、異常歩行がみられるのか?」を考えていく必要があります。これが歩行分析と言われるものですね。
歩行観察はありのままを記載すれば良いだけ、歩行分析は、「なぜそうなっているか」について書いていかなければなりません。
しかし、異常歩行に関しては既に、多くの書籍で解説されています。
「トレンデレブルグ徴候が中殿筋の筋力低下で起きる。」というのは、誰でも知っている事だと思います。この異常歩行について、自分なり仮説を出す必要はほとんどありません。
1.歩行の状態を可能な限り「ありのまま」に記載 → ルールに従って記載する。
2.異常歩行の原因について記載 → 既に理解させているメカニズムを引用する。
この2つだけで、自身でやらないといけない事は、1のルールに従って記載する事だけです。
異常歩行のメカニズムについては、以下のようなテキストをしっかり読み、自身が観察した歩行観察結果にあてはまる異常歩行のメカニズムを引用するだけです。
先ほど挙げた、「観察による歩行分析」と「ペリー歩行分析-正常歩行と異常歩行」が、お薦めです。持っていない方は、購入を検討してもいいと思います。
