治療の停滞させないために

2.適刺激の見つけ方その1  適刺激についての解説

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clinical reasoning1前回の記事では、適刺激という言葉を多く使いましたが、これは私が勝手に使いやすくて使っているだけです。調べても、徒手療法関連の言葉でこの言葉が出てくるかはわかりません。

ここでは、患者の症状に良い変化を与えることができる特定の刺激をそう呼んでいます。言葉を勝手に作るのは聞く方を混乱させてしまう為よくない事は承知の上で、一々説明するよりもこの方が回りくどくなく伝えやすいと思い使用していますのでご容赦下さい。

今回の記事では、前回記事で解説した適刺激について、「では、どうやって、その適刺激を探すのか?」を稚拙な文章で解説していきます。

 

【適刺激の見つけ方その1  (クリニカルリーズニングに関する解説)】

セラピストが用いる手技は、その変化のメカニズムを仮定したものが生理的な変化であろうと、解剖学的・生体力学的な変化であろうと、はたまた神経反射を利用した変化であろうと、結局のところは物理的な刺激を用いて変化を起こそうとしています。

このメカニズムの仮定は、今のところ最もつじつまの合うであろう説明をしているだけで本当のところはよくわかりません。ですが、目の前で起きている症状の変化そのものは真実です。ここでは、セラピストが物理的刺激を用いて患者の変化を確認し、症状の良い変化があればこれを適刺激としています。変化が起きた時、何故それが起きたか?(どういうメカニズムか?)はここでは一切ふれずに話をすすめていきます。

その、セラピストが用いた物理的刺激に反応したか・していないか、を最も確認しやすいのが機械的疼痛(以下メカニカルペインとします)です(これは疼痛の臨床分類の一つです)。メカニカルペインとは特定の姿勢や運動で疼痛を再現できる痛みのことを指します。

メカニカルペインではない代表的なものに炎症性疼痛や心因性疼痛などがありますが、ここで疼痛の臨床分類についての解説も加えると私の能力ではさらに簡潔な説明ができなくなってしまうので別記事で触れる事とし、それ以外の疼痛は非機械的疼痛とひとくくりにさせて頂きたいと思います。

適刺激を探していく上で重要になってくるのが、患者の症状がメカニカルペインか非機械的疼痛かの判断です。先ほども少し触れましたが、メカニカルペインの特徴としては「特定の姿勢・運動で疼痛を再現でき、それを止めれば痛みは起きない」ですので、そういった症状の訴えがある場合、この患者の痛みはメカニカルペインの可能性が高いと判断します。さらに、

  1. その症状の誘発・軽減をセラピストに患者自身で見せることができる。
  2. 症状の出現からしばらくの期間がたっており比較的症状が安定している。

といった場合は最も適刺激を探しやすい患者像だと思います。まずは、問診でしっかりとこの部分を確認し適刺激を探しやすい患者であるか否かを判断する事が大事で、ここが曖昧だと、その後の推論過程の確からしさが損なわれてしまいます。

上記の特徴を有していると判断できれば、その後の評価の内容は適刺激を探す作業に移ることができます。(メカニカルペインの中でも上記の特徴を有していない患者は、適刺激を見つける事がやや難しく、この段階で適刺激を探す作業に移らずに、別の推論過程が必要になると私は考えています。この部分も別記事で触れる予定です。)

1の部分は機能的実証と呼ばれるもので、目の前で痛みの出現・増悪を患者自身がデモンストレーションしてみせる事ができるか、という事です。よくある患者とのやり取りの一つとして、「起き上がる時に腰が痛いです」と訴えたとします。そこでセラピストは、「では、その痛みが出るという起き上がり方を今やってみせて下さい。」と患者に促します(これをクイックテストとよびます)。

しかし、患者はさっと起き上がり動作をみせて、「あれ今は痛くないな。」といいます。そこで、「どうやったら普段感じているような痛みをここでみせる事ができますか?」と尋ねます。患者はいくつかのバリエーションの起き上がりを実際にやった上で、「うーん。今は痛くないんだよね。」と返答します。

この場合、まだメカニカルペインの可能性はありますが、上記の1の部分を満たしていない為、適刺激を探す作業に移行する事はできません。なぜなら実際に痛みが出ていた姿勢・運動の変化を良い変化があるか否かのヒントにするからです。

このクイックテストによる、患者自身がセラピストにみせることができる疼痛の再現をコンパラブルサインと呼びます。先ほども触れましたがコンパラブルサインが陰性の患者は別の推論過程(評価項目の設定など)が必要になってきます。

そして、2の症状が安定しているか、についてですが、一般的に腰痛は原因は不明である事が多く、ほとんどの場合、2週間~1カ月程度で自然に良くなる予後良好な疼痛症候群とされています。この期間に治療刺激を加えて起きた変化は、自然治癒の可能性を否定できません。

よってセラピストが用いた物理的刺激による症状の改善の因果関係を(腰痛の原因も、良くなった原因も)説明することができなくなってしまいます。また、発症から長い経過が経っていても症状の出現にムラのある患者の「良い変化」は非常に読み取りづらい場合があります。「昨日は痛かったが、今日は痛くない。」「一日の中でも、痛い時と痛くない時がある。」などは症状が不安定と判断でき、上記2の条件を満たしません。

要するに、症状のベースラインを把握しているかが重要という事です。何もしなければ、きっと明日も1週間後も今のような経過をたどるであろうと予測をした上で、その予測とのズレ(良い変化)を読み取りたいのです。

まとめると、上記の条件を満たしていれば、症状が安定している(ベースラインを把握できていれば一見不安定でもかまわない)中で起きた変化はセラピストが用いた物理的刺激によるもので、実際に見せてもらって変化を確認したから、この変化は用いた物理的刺激の影響だ。と説明することができます。

ここで確認する事ができた適刺激は、一時的ではあったとしても症状に変化を起こすことができる「適刺激」と判断します。この適刺激が見つかれば、現在用いている手技を治療で用いる物理的刺激とする事の確からしさを確立できます。

この変化がやはり一時的であるならば、前回記事(痛み治療の進め方 ~治療を停滞させない為に~)で説明したようにセルフケアの指導に移っていく事ができるはずです。

方法論としての、「どうやって探すか?」については触れていませんが、上記の条件を満たしていない患者には適刺激を見つける事は容易ではないので、方法論の前提として適刺激を探しやすい患者像について説明してきました(具体的な方法についてはもう少しお待ち下さい)。

上記の条件を満たす患者に対して、適刺激を見つける作業を積む事によって、適刺激を見つけるのがやや難しい患者についても明確な仮説を持って治療をすすめていく事が出来るようになります。

この件については、前・本記事から派生する記事を書き終えてから記事にしていく予定です。また、少々長くなりすぎたので、この続きもありますが次回の記事に持ち越したいと思います。クリニカルリーズニングが解説される際に、表にはなかなか出てこない部分を伝える為に、今後も少しづつ書き続ける予定ですので宜しくお願いします。

長々と稚拙な説明で申し訳ありませんが、最後まで読んでいただきありがとうございます。次の記事でもう少し分かりやすい説明と残りの部分を解説していきたいと思います。

次の記事→ 3.適刺激の見つけ方2 そもそも良い変化とは?

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