セルフエクササイズ

4.指導したセルフエクササイズを実際に行えているかの確認方法

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クリニカルリーズニングシリーズ6ある程度、治療が進行してくると、理学療法士側からセルフエクササイズを提供して、それを実践してもらっている場合があります。

この時、しっかりとセルフエクササイズを実践できているかの確認をどのように行っているでしょうか?
指導したセルフエクササイズがしっかり行えているかを確認する事の重要性と、その方法について記事にしています。

 

患者の実生活は把握できませんので、患者からの報告を頼りにするしかない場合がほとんどだと思います。

「どうですか?自主訓練はしっかり行えていますか?」

すると患者の返答が、

「いいえ、全然やっていません。」

この場合は、絶対にやっている事はないはずですので、この返答はとても分かりやすいです。

この事について注意するか、新たな自主訓練を考案してみるかは、セラピストそれぞれだと思いますが、このような返答であれば、実際に自主訓練が行われいないという事を正確に把握する事が出来ます。

そして、正確に把握する事で、次にどういった行動をとるかを判断する事が出来ます。

しかし、

「やったり、やらなかったりかな?」
「たまにやるくらいです。」
「やらない時もあります。」

こういった返答は、やらない時がほとんどなのか、やる時がほとんどなのか、その割合や、やっている程度が把握しにくい返答です。

セラピスト側も、深く聞きにくくなってしまう為、自主訓練の実態があやふやなまま、この事についてのコミュニケーションがおろそかになってしまう場合があります。

しかし、これをしっかり把握出来ていなければ、理学療法士側が次に何を考えて動けばいいのかが分からなくなってしまいます。

もし、しっかり行えていないのであれば、何故行えないのかについて話し合う事ができます。

その理由が、患者自身の危機感が問題であれば、このまま自主訓練を行わない事で起こりうる不利益について話合う事が出来ますし、セラピストが適切な自主訓練を処方できていないという事が分かれば、どういった自主訓練なら取り組めそうかについて考える事が出来ます。

しかし、自主訓練ができているのか、できていないのかが曖昧なままだと、次にどういった行動をとるべきかも曖昧になってしまいます。

ここで、曖昧なままやり過ごすと、治療終結を迎える頃に、新たに自主訓練を指導する為だけのセッションを設けなければいけなくなります。

また、それまでの期間で、セルフエクササイズに取り組んできたという、患者自身の自負がないので、治療を終結し、これから自身の症状をセルフコントロールしていく事に不安を感じてしまいます。

そうならない為にも、治療経過の途中の段階から、セルフエクササイズにしっかり取り組めているかを担当理学療法士は把握できていなければいけません。

 

では、どのようにセルフエクササイズの実践度を把握するのでしょうか?

一つはしっかり聞く事です。「当たり前の事を…」と思われる方もいるかもしれませんが、そこができないセラピストは多くいるように感じます。

患者が「やったり、やらなかったりかな…」と返答した時に、どれくらい具体的に聞けるかが重要です。

「では、1番近い日で、自主訓練を行ったのはいつですか?」

「昨日ですか?それとも一週間前ですか?」

「先週の一週間のうち、それに取り組めているのは、何日でしたか?」

やったり、やらなかったり、という言葉はかなり曖昧で、1ヶ月のうち1日でもやれば、残りの約29日を実践していなくても、「やったり、やらなかったり」という表現をされる方もいます。

この表現の仕方をされた患者には、しっかりどの程度かを確認する必要があります。

もう一つの方法は、実際に見せてもらうという事です。

「私が、あなたに指導した自主訓練を実際に今やって見せてもらってもいいですか?」

「私は傍で見ているだけですので、家で実際に行っているようにやって見せて下さい。そして、全てをやり終えたら、終わった事を知らせて下さい。では、宜しくお願いします。」

このように言って、その場から一歩だけ下がります。

実際に行えている患者は、このように言われると実際にやってみせる事ができます。

しかし、実践していない患者は、躊躇し、取り組む前から、理学療法士にやり方の確認をしようとします。

もし、患者が実践できなかった場合は、その場で自主訓練の再指導を行わない事です。

ここで、中途半端な再指導を行ってしまうと、ここでやらなくてはいけない、課題の取り組みが中途半端になってしまいます。

もし、実践できていなかった場合に、理学療法士と患者が取り組むべき事というのは、

まず、セルフエクササイズをやってこなかったという事を患者自身に自覚させる事です。

そして、どうしてセルフエクササイズを実践できなかったかについて話合う事です。

これを中途半端にすると、再指導を行っても、また同じ事を繰り返す事が目に見えています。

ですので、安易な自主訓練の再指導は、本当に見つめないといけない問題をうやむやにしてしまいます。

自主訓練を実践しなかった事を注意しなければいけないと言っているのではなく、取り組めていない現実から目を反らさず、そしてどうすれば実践できるかを考える良い機会と捉えるのです。

すると、表には出てこなかった新たな問題が出るかもしれません。

前回記事の、セルフエクササイズの実用性の問題が潜んでいるかもしれませんし、患者自身がセルフエクササイズの重要性を把握していないのかもしれません。

こういった問題が隠れている場合は、その場でセルフエクササイズを実践できていない事を、理学療法士側からの一方的な指導で解決する事は難しく、時間を置いてから再び問題として現れてきます。

ですので、セルフエクササイズを指導した理学療法士自身は、その実践度をしっかり把握できるように患者と関わる必要があると思います。

次の記事→ 5.セルフエクササイズの重要性を認識してもらえない理由

 

 

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