ゴール設定

4.再発可能性のある患者のゴール設定と、その取り組み

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クリニカルリーズニングシリーズ5徒手療法におけるゴール設定本記事は、シリーズ5の4作目の記事です。

治療をすすめていると、
「症状の改善は見られているが、特定の動作・作業をすると再発する・再発の可能性がある
という患者もいます。
こういった場合のゴール設定について解説していきます。

 


シリーズ5「ゴール設定」で書いてきた記事を簡単に説明します。

  • 2作目の記事「治療開始時期から結果を出す事ができた患者」についての明確なゴール設定
  • 3作目の記事「ある一定期間の治療経過を通しても改善する様子がみられず、治療を継続すべきでないと思われる患者」についてのゴール設定

どちらも、治療関係を終結させ、他者依存ではなく患者自身で症状をコントロールできるようにしていく、という事が共通しています。

外来診療でのゴールというのは、基本的にはこうであるべきだと思っていますので、その上で記事を書かせて頂いています。


今回の記事は、先ほど挙げた2つの中間である、「効果は出ているが、無理をすると再発してしまうという状態」の為に、治療に通い続けているという患者です。

徒手療法による介入で効果は出ているが、治療終結までは至らないというような患者なので、治療時期でいうと中盤に差し掛かっている時期と考える事ができると思います。

徒手的介入により、十分に改善したといえる状態になれれば、同シリーズ2作目の記事「早い段階で徒手療法が功を奏した場合のゴール設定」での考え方になるかと思っていますが、今回の記事で取り上げるのは、改善はみられるが、何かしら特定の事をすると再発してしまうという状況にある患者です。

最初は治療経過の中で、疼痛を誘発するような動作を避けるような指示を出すかもしれません。

症状が改善を示してくると、今度は何かしらの制限を加えていない状態でも、その良い状態を維持できるかが問われます。

最も良いのは、もとの生活状況に完全に戻れる事ですが、何かしらの作業や動作を行うと症状を再発してしまう可能性があり、このリスクと供に生活していかなければならない患者の場合は、ゴール設定が少々ややこしくなります。

中には、「もうそういう事はしないから」、「無理はしないように気をつける事にした」というように患者自身で、諦める場合もあるかと思います。

その逆で、仕事だったり、求められている役割だったりで、「いずれやらなければいけない事」の場合は、「諦めて下さい」と言うわけにはいきません。

ですが、それを繰り返し行っていると、「いずれは腰痛が再発してしまう可能性が高い」と言えるなら、ただ単に腰痛を改善させる事がゴールではなくなります。


今回は、腰痛そのものは十分に良くなったが、腰が痛くなる姿勢を極力避けてきた事によって再発・悪化を防ぐ事ができているという場合を考えてみます。

「現時点では腰痛が治るまでは無理をしなくていいと会社から言われ、今は仕事内容を変えてもらっている。」

「もとの仕事内容は、長時間立ちっぱなしの事が多く、これが今回の腰痛の原因になっていて、今はデスクワーク中心の仕事を任されている。いずれはもとの仕事内容に戻る事になっている。」

という状況です。

そして、腰痛が十分に改善した為、もとの仕事内容に戻った矢先、以前ほどではないにしろ、再び同じような症状が出てきた事を患者から告げられたとします。

このような場合のゴールは、基本的には腰痛そのものを改善させる事だけには止まらないはずです。

腰痛を慢性化させ、自分で対処できなくなって病院に通う事になったはずなので、病院に通わずに患者自身で適切に対処できるようになる事が、ゴールであると考えられます。

ですので、もし仮に痛みが完全に消えてしまっては、この対処法の練習は空想の中で取り組まないといけなくなります。

治療段階の途中で、このような事が求められる患者の場合は、治療開始時期は治療を受ける事に専念していても良いと思うのですが、ある程度治療が進んでいくと、残りの症状は患者自身で治療する事が望ましいと思っています。

自宅で1人で行うという意味ではなく、リハビリ室で理学療法士と一緒にセルフエクササイズに取り組む事が、その患者にとっては、今後の生活を考えた上でとても重要になる治療プログラムであると思います。

一旦、腰痛が完全に消えたとしても、仕事復帰してみて、また痛み出したという場合も同じです。

仕事復帰してから痛みが出てきているので、リハビリ室にいる今も痛いかは別としても、この取り組むべき腰痛については患者自身がよくわかっているはずです。

その対処法について一緒に取り組んでいく事が、ここから新たに進めていくリハビリであり、その向かっている先がゴールになります。

もし、再発してからの痛みがリハビリ室でもみられていれば、このゴールを達成する為には、とても良い条件となります。

徒手的介入時に、何が適刺激かを探していく過程で、何度もプレ・ポストテストで確認したのと同じようにセルフエクササイズにより症状の変化が生まれるかを何度も確認していきます。

ついつい、受動的な治療をしてしまいがちですが、ここから先、向かっている所は、患者自身で症状をコントロールする事なので、可能な限り受動的な治療行為は、少なくすべきです。

それを避けなければ、例え症状の改善がみられてもゴールからは遠ざかってしまう事を意味します。

目の前の症状が良くなっても、結局いずれは痛みが再発し、人の手を借りなくてはならない事が、予測の範囲内だからです。

その時の対処法を、実践を踏まえて取り組んでいないので、実際に痛みが再発した時に、理学療法士を頼る以外にできる事がなくなってしまいます。


もし、その再発してしまった症状がリハビリ室ではみられていない場合

例えば、仕事中に少しずつ腰痛を感じ始め、家に帰っても腰痛を感じているが、次の日には治っているというような状況です。

このような場合は、リハビリ室で痛みの確認をとる事ができません。

なので、今まで、その患者を治療してきた経過から言える「適切だと思われるセルフエクササイズ法」を指導し、次回の来院時に上手く対処できたかの確認を繰り返しながら、ゴールにたどり着けるように取り組みむ事ができると思います。

しかし、次の日には治っていて、もちろんリハビリ室では再現できないという事なので、もともとの病院に来るきっかけとなった腰痛そのものは、今は良くなっているという判断ができると思います。

ですので、一応は、今までの介入による治療効果は出ていると判断する事ができます。

腰痛を次の日に持ち越していないという事は非常に重要な事で、「負荷がかかると痛みは出るかもしれないが、それが蓄積してはいない」という事が言えます。

やはり、無理をすれば痛める可能性は誰にでもありますので、どこに妥協点を置くかが必要となる患者も必ずいるはずです。

腰痛が完全に消失し続ける事が最も望ましいですが、それに拘りすぎた結果、受動的な治療が当たり前になってしまわないように取り組む視点は非常に大切になってくると思います。

この妥協点として

  • セルフエクササイズ法による対処法を身につける事
  • 次の日に症状を残さない程度までは改善させる事

を挙げる事ができると思います。


最初に目指す所は、痛みを完全に消しさる事だと思います。

しかし、全ての患者で達成可能ではありません。諦めずに取り組むという事も大切かもしれませんが、徒手療法による関わりが生み出す問題もある事を、理学療法士は知っておかなくてはならないと思っています。

この徒手療法による関わりが生み出す問題を起こさないように治療を進めていき、症状の改善に対する取り組み患者の自立した生活のバランスの中で落とし所を探る必要があると思っています。

治療の時期についての設定が、治療開始時期や中盤、というような言い方をしているのは、徒手療法の学派によって治療期間の考え方が異なる事や、病院によっては150日期限で終了とするところ・しないところがありますし、各々の患者の状態によっても必要な治療回数や期間は異なると思いますので、大まかにそのような分け方をさせて頂いています。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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