治療手技総論

7.徒手療法?オステオパシー? 理学療法士が行くべき講習会とは?

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クリニカルリーズニングシリーズ4シリーズ4「治療手技総論」の記事の一部として、理学療法士が行くべき講習会について個人的な意見を述べさせて頂きたいと思います。

「治療手技について学びたいが、いろいろな学派があって何が良いのかわからない」というような質問を受けましたので、そういった理学療法士に対して私なりのアドバイスになるような記事になればと思い今回の記事を企画しました。

 

学派を対比させたり、その学派のコンセプトを紹介するような内容ではありませんが、私が行って良かったなと思えた経験をもとに述べさせて頂きます。

特殊な治療技術をうたう学派でない限り、手技はだいたいの場合似通っています。
特に関節モビライゼーションやマニピュレーションなどの学派は、コンセプトの違いはあれど、見た目の手技そのものに大きな違いはありません。

1人のマニュアルセラピストがいて、患者を治療している場面を遠方から見ている時に、そのマニュアルセラピストが、ノルディックシステムのディプローマなのか、メイトランドコンセプトを外国まで行って学ばれた方なのか、ドイツ徒手医学のコースインストラクターなのか、といった事を判断する事は無理です。

行っている手技そのものは、大きな違いはありません。それぞれの学派の方たちは、「私たちは、細かい所まで神経を使って、他よりも丁寧に治療にあたっている」と言うかもしれませんが、やはりほとんど違いはありません。

では、関節モビライゼーション系の学派と、筋・筋膜系の学派では、その手技に違いがあるか?と聞かれると、そこだけをとれば、見た目としての違いはあります。

しかし、関節モビライゼーション系の学派の方たちが、関節について(例えば、ジョイントプレイと呼ばれる関節の遊び、並進運動など)の治療と評価しかしないのかと言えば、決してそのような事はありません。

筋肉の伸張法や、PIR(等尺性収縮後弛緩)、横断ストレッチ、リリーステクニック、マッスルエナジーテクニックなども学びます。

ですので、徒手療法と検索して出てくる学派のほとんどは、手技そのものは似通っています。

オステオパシーについても、基礎的な部分は類似していて、あまり分けて考える必要はありません。(しかし、オステオパシーに限らず、「膜にこだわりを持っている」「問題の根源は仙腸関節だ」などと偏ったコンセプトを持っている学派については、少々異なりますので、ここでの意見は控えさせて頂きます。)

また、治療手技というものは、セラピスト側の適正もあって、体格や手の大きい理学療法士ではやりにくい手技があったり(またはその逆)、環境で考えると、昇降式ベッドがないリハビリ室で働いている理学療法士では用いにくい手技などがあり、それらは、結局、テキスト通りというよりは臨機応変な対応が必要になります。

最初に学んだ、「正しい方法」と思っていたものも、実際に臨床で用いながら少しずつ変わっていっていくもの(自身のやり方が)も多く、どの学派を選ぼうが、その学派内でもそれを用いる人によって手技の用い方に微妙な違いが出てきます。

講習会でも、きっとこのような事は講師の方から説明を受けると思います。

ですので、言える事は、どの学派で学んでも、大差はないし、それを用いるセラピストによって微妙に変わってくるという事が言えると思います。

そこでは学べなかった手技については、特定の学派で一通り学んだ後に、部分的に「そこにしかない手技」を自身の引き出しに追加するように単発の講習会に参加したり、テキストのみによって学ばれる先生は多いかと思います。

「では、徒手療法の学派はなんでもいいのか?」と聞かれると、私なりのアドバイスがあります。

マニュアルセラピストでない理学療法士と、マニュアルセラピスト(徒手理学療法士)の違いは、患者を治療する際の患者のハンドリングに関する技術です。

患者との距離感(心理的な距離感の事ではありません)、や体の向き、姿勢、手の置き方、固定の仕方などがとても綺麗です。

綺麗というと、「そんなくだらない事?」と思われる方もいるかもしれませんが、ハンドリングの際にぎこちないやり方で行っている場合は綺麗には見えません。

上手く操作できていないのであれば、「自分がやろうとしている事を忠実に行えているか?」という点で疑問が出てきます。一回目と二回目で、やろうとしている手技は同じなのにやっている事が違う状態になってしまっていては、自身の評価と治療の正確性が欠けてしまいます。

また、体の使い方で理学療法士自身の体を壊してしまう事は避けなければなりません。自身の体の使い方次第で効率的にできるものを、無理な体勢で、力みが入った状態でやっては、先ほどあげた正確性という点でも問題ですが、セラピスト自身の体を壊しかねません。

これ以上の例をあげると冗長になってしまうので、ここで止めますが、「綺麗に見える」ということは
マニュアルセラピーを進めていく上で非常に重要な部分だと思っています(決して、講師の先生がカッコつけるために綺麗に見せているのではありません)。

ここまで長くなってしまいましたが、結局どの講習会が良いのかというのは、もしマニュアルセラピーのコースに行った事がなく興味があるという方でしたら、週末に1日で開催される単発の講習会に行くよりは、マニュアルセラピーの本コースに参加する事をお勧めします。身体を各パーツに分けて、一定の期間をかけて網羅的に行うコースを設けている学派です。

何故なら、先ほどあげた、理学療法士自身の体の使い方を徹底的に指導しようとしているのが、そういったコースを設けている学派だからです。

単発の講習会では、体の使い方を注意される事はあまりなく、また、目先の結果を出す方法論についてテーマとなっている場合がほとんどで、理学療法士自身のハンドリング技術が上がる事はあまりありません。

  • 年間を通して開催される。
  • 身体をパーツに分けてコースが開催される。

その他で言うと、受講者の設定人数が少ないコースが良いです。30名より20名が良いです。できれば10名の方が良いです。

アシスタントインストラクターがついて、大勢をみる講習会もありますが、そういった講習会は注意が必要です。アシスタントインストラクターという名前だけで否定するわけではありませんが、その学派が、インストラクターとは認めていないセラピストに指導を託している事に私は疑問を感じます。

1人の人間が同時に、大勢をみる事は物理的に不可能で、結局、アシスタントインストラクターが、各セラピストの実技を指導するといった事になってしまうのは想像に難しくないはずです。

「10名に対してはインストラクター1人、これ以上増える場合はアシスタントをつけます。」というのは、コース主催者側のとる行動としては間違っています。10名に対してインストラクター1人で、そこにプラスでアシスタントをつけるべきで、10名以上になればインストラクター人数自体を増やすのが適切な対応ではないでしょうか?

ですので、先ほどの説明した事に加えて、限りなく少人数の講習会を選ぶべきで、講師であるインストラクターが常識的に考えて指導可能な人数かという事が重要だと思ってます。

 

単発の週末開催の講習会はお勧めではありません。

これらのタイプの講習会は、目先の結果の出し方についてだったり、その治療手技のイントロダクションセミナーのような内容だったり、また、毎回似たような内容を繰り返すものだったりで、沢山行ったから価値があるかといえば、そのような事はなく、コースで学ぶ事と比較すると、基礎を学ぶ事や網羅的に学ぶ事には長けていません。

ですので、マニュアルセラピーについて興味ある方は、単発の講習会より少々値段は高くなってしまいますが、マニュアルセラピーについてある程度網羅的に学べるコースに参加する事をお勧めします。

学派自体は、普通によく聞く学派であれば、上記の事については、問題ないと思います。そして、最初に受けるコースは、特定の拘った治療コンセプトを持っていない学派である事が個人的には望ましいと思っています。

大切な事は、患者を触る技術だと思います。特定の世界に酔いしれる事ではないはずです。

このブログサイトでは特定の学派を推奨、もしくは避難するような事を意図していませんので、学派名をあげるという事は控えさせて頂きます。

特定の学派のコースに参加する際には、その案内をよく読んでみて、それでもわからない場合は事務局に問い合わせてみてもいいかもしれません。

特定の強い治療コンセプトを持っていないかについてと、アシスタントインストラクターに指導を受ける可能性があるかという事、そして講習会の設定人数については、特に気をつけておく事をお勧めします。

ある程度の基本的な技術(ハンドリングやマニュアルセラピーの基礎知識)について学んでおけば、それ以降はテキストのみから得られる情報でも、そのテキストが何をやろうとしているのか理解しやすく、また文字による説明でも、ある程度理解できるようになると思います。

そういった意味でも、マニュアルセラピーの本コースに参加する意義は大きいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

※この記事は、徒手療法のコースに参加する事を勧める記事ではありません。興味があって、でも何を受けたらいいかわからないという方を対象に書いています。

次の記事→ 8.「手技を評価する過程」で起こる問題の対応策について

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