運動機能障害症候群のマネジメント-理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導-

運動機能障害症候群のマネジメント

運動機能障害症候群のマネジメント-理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導-
Shirley A.Sahrmann(著)
竹井仁 鈴木勝(監訳)

A.Sahrmannが提唱する運動機能障害という、人が症状を呈する原因と考えられる運動や姿勢について詳細に体系付けられてまとめられた良書です。
痛みの原因組織を探すというよりは、組織が痛む原因となった生体力学を考えるものです。
なぜ腰椎が過度に前湾してしまうのか(もしくは、前湾を保てないのか)、
大腿骨の形状の特徴にによって、どういった運動が起こりやすいのか、

症状を起こさせる原因としては、環境的な原因や作業内容としての原因なども考えられます。あらゆる原因の中で、理学療法士が治療介入する際の身体的な原因を探していくことについて、運動学・生体力学の視点から解説しています。

いわゆる機能障害の治療になります。痛めている組織に、どのようなメカニカルストレスが加わっているか、その原因はどこの関節の硬さか、どこの筋肉の筋力低下か、その原因を生み出しやすい骨形態はどのようなものか、こういった視点で、治療をすすめようとする際に沢山のヒントを与えてくれます。

硬くなってしまった筋肉が、「なぜ硬くなったのか」

これを考えずして、単純に硬くなった筋肉をほぐす事に専念しては「治療」ではなくなってしまいます。

治療をすすめていく上で、痛めている原因組織を探すのが大切なのと同じように、痛めた身体的原因を探す事も大切になってきます。

運動機能障害症候群として、腰椎、股関節、肩甲帯について詳細に解説し、そのメカニズムや解剖学的な知識などもしっかりと説明されています。運動や姿勢をみるのが好きな理学療法士向けのテキストと言えると思います。

また、分類されたそれぞれの運動機能障害症候群についてのエクササイズ法の解説もあり、運動機能障害症候群のタイプ診断から治療までを順序よく解説してくれています。

それらに関わる周辺知識としての解剖学や運動学、生理学の解説もあり、このテキストを読む事で機能障害を捉える為のまとまりある知識を得る事ができます。

ボリュームのあるテキストですが、それぞれの運動機能障害症候群に分けて解説されているので、必要に応じて部分読みしながら重要と思われるところを繰り返し読んだり、当てはまりそうな患者を担当した時に見返してみる、という事を繰り返すと機能障害の捉え方が上手くなるはずです。

痛みの原因を、運動や姿勢という視点から見るのが苦手な理学療法士や作業療法士にとっても、そういった事を学ぶ為のテキストとしてオススメできます。

運動機能障害症候群のマネジメント理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導

単行本(ソフトカバー): 476ページ
出版社: 医歯薬出版 (2005/4/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4263212851
ISBN-13: 978-4263212851
発売日: 2005/4/1
商品パッケージの寸法: 29.7 x 21 x 2 cm

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