非特異的腰痛【運動器フォーラム2016】

① 痛み治療において重要だと思う事。-非特異的腰痛と徒手療法と臨床推論-

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この記事は、運動器フォーラム2016の2つ目の演題、「非特異的腰痛と徒手療法と臨床推論」で使用されたスライドと、その時に説明を行った内容についてをブログ用に書き起こしたものです。また、読み返しながら、追記した方が良いなと感じた部分には、発表時に話していない内容も載せています。

また、発表の流れに沿って記事にしていますが、全てをこのページのみで説明しようとすると、長くなりすぎるのと画像が多すぎて重くなってしまうので、何部構成かに分けて、記事にしていきます。

全体の大まかな内容としては、「理学療法士が治療に当たっても良い状態か否かを理学療法士自身で判断できるようになりましょう」というものです。

理学療法士が診療に当たる際に、運動器のリハビリは比較的健康な人を対象とする事が多く、なんとなくリスク管理が疎かになってしまう傾向があります。診断的トリアージに関する知識を持っているか?、違和感に気付けるか?、「何かおかしい」と感じた時に、その状況に応じた適切な行動をとれるか?こういった事についてを症例を通して発表させて頂きました。

今後は、欧米のように理学療法士へのダイレクトアクセスの可能性や、中には(理学療法士としてではなく整体師として)開業する方もいるかもしれません。そういった場合も、このリスク管理能力は非常に重要なものになるかと思います。では、始めていきます。

 

運動フォーラム2016

「非特異的腰痛と徒手療法と臨床推論」

非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ1

非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ2

非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ3

まずは、痛み治療において、私自身が特に重要だと思っている、疼痛検査についてお話させて頂きます。

 


痛み治療において重要だと思う事。

非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ4

もう周知の事実だとは思いますが、腰痛のほとんどは画像所見と一致せず、また原因が特定できる腰痛は15%程度とされています。非特異的腰痛という言葉を良く聞きますが、特定の疾病が除外されてはじめて、非特異的腰痛といえます。

 


非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ5

では、症状部位から腰痛の原因の推測が可能かについてですが、神経根後枝内側枝と、椎間関節に電気刺激を用いて、どこに疼痛が再現されるかを調査した研究をみてみます。

殿部痛は、L3/4、L4/5、L5/S1椎間関節への電気刺激、L1~L5神経根後枝内側枝への電気刺激で再現されています。

鼠径部痛は、L3/4、L4/5、L5/S1椎間関節への電気刺激、L2、L3神経根後枝内側枝への電気刺激で再現されています。

その他にも全般的に、かなりの部位で重複していて、疼痛部位から、どのレベルの後枝内側枝か、どのレベルの椎間関節かを特定するのはかなり困難です。

ここでは、椎間関節と神経根後枝内側枝だけの比較ですが、ここに腰部に含まれる全ての組織(神経支配のある全ての組織)を考慮しなければなりません。

ですので、症状をパッと聞いただけでは、ある程度の絞り込みは行えたとしても、それだけで何かしらの原因を確定する事は難しいという事です。

そこで重要になってくるのが、身体所見の変化をみていくという事だと思っています。

 


非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ6

「腰痛」を評価していく上で、療法士の最大の強みは、その腰痛を検査の過程で、

疼痛を再現させ、試験的治療や実際の治療経過の中で、症状や徴候の変化を読み取りながら評価を進めていけるところです。

原因が現時点では分かっていない「非特異的腰痛」については、治療をすすめていく上で、症状を再現させ、何らかの物理的刺激を加えながら、その症状に変化を与えて、

その過程の中で、症状や徴候の変化を読み取りながら評価を進めていく事が重要と考えています。

 


非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ7

では、なぜ「疼痛を再現させる事」が重要なのか?ですが、

今から変化を与えようと思っている腰痛が、「実態のつかめないよく分からないもの」だとしたら、それが、どう変化しているのかを読み取るのは困難です。

ですので、疼痛を目の前で再現させる事はとても重要な事です。そのキーワードが、患者が説明してくれた疼痛動作を「では、それをこの場で見せて下さい。」と言って、

実際に見せてもらう事になります。

さらに、再現できた疼痛が、他の運動や検査でも誘発されるかを確認する事で、その痛みの出方を療法士側が十分に把握しておく事が重要と言えます。

 


非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ8

患者自身が訴える症状を再現できる動作がある場合、これを再現可能な徴候「コンパラブルサイン」陽性と言います。

「腰を曲げると痛い」これは、患者がよく症状説明で使う言葉ですが、実際に腰を曲げてもらうと痛くない、という事が多々あります。

こういう場面に出くわしたら、このやりとりをきっかけにより踏み込んだ質問を行う必要があります。

「痛みは出ていないようですが、、、では、どのように腰を曲げると痛みが出ますか?」「では、それをやってみせて下さい。」という風に、

患者が説明した事を実際に見せてもらう事で、問診時に簡略化して説明されていない事をより具体的に聞き出すことができます。

 


非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ9

患者の訴えた症状を再現できた場合に、コンパラブルサイン陽性となりますが、その次の展開としては、

その痛みは、どうすれば他の運動でも再現できるかを、

コンパラブルサインをヒントに確認していきます。

ここで、いくつかの疼痛誘発が可能な運動や検査を持っておくと、後の治療後の効果判定に役立ちます。

 


非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ10

ここまでをおさらいします。

患者が「腰を曲げると痛い」と説明すれば、「では、それをこの場で見せて下さい。」というような指示をして、実際に見せてもらいます。

見せてもらえるまで、このやりとりは行われます。それでも再現できない場合は、違う展開となるのですが、ここでは「コンパラブルサイン陽性である」という事を前提に話を進めています。

再現された痛みが他の動作や運動・検査で誘発可能かを確認し、それが可能であれば、これを治療後の効果判定の道具とします。

プレは事前テスト、ポストは事後テストで、疼痛が再現された検査が治療後にどうなっているかを確認しようとするためのものです。

 


非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ11

その際に、ポストテストとして選択する際に、できれば考慮しておきたいのが、運動の強度と運動の種類(バリエーション)です。

腰を曲げるという動作を考えた時に、

  • 抗重力位か否か
  • 中間域か最終域か
  • 最終域でオーバープレッシャーを加える
  • 屈曲位で回旋を加える(複合運動)

またベッド上で背臥位から両膝抱えるように腰を丸めるような動作は、抗重力位より運動負荷が低くなると推測できます。

このように、運動の強度、種類にバリエーションを持たせておく事で、後の試験的な治療や実際の治療の経過の中で「変化している・していない」の判断をしやすくする事ができます。

再現できた痛みに対して、時期早々な限定的な仮説をたてるのではなく、どうすれば疼痛が再現されるかをありのまま読み取ろうとする事が大切です。

網羅的にプレ・ポストテストを準備すれば、「治療後の変化」を読み取れないミスを未然に防ぐことができます。

(この部分をもう少し細かく解説している記事がありますので、こちらについても後のほど案内をさせて頂きます。)

 


非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ12

ここまでは、原因が分かりにくい非特異的腰痛を評価していく上で、疼痛を目の前で再現させ、その状態をしっかりと把握しておく事の重要性について説明させて頂きました。

しかし、原因がわからない腰痛を再現させるような働きかけは、その行為が症状を悪化させたり、疾病を悪化させる危険性がある事に注意しなければいけません。

このリスクを配慮した上で、疼痛誘発検査を行っても良い状態か(検査・治療の制限)の判断を行えないといけません。

 


非特異的腰痛 理学療法 キャプチャ13

ここからは、その疼痛を再現しても良い状態か否かについて、事例を呈示しながら考えていきたいと思いますが、切れが良いので、一旦ここで1部を終了します。2部は、診断的トリアージに関する所から始めていきたいと思います。

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